第三回北欧手工芸の旅 工房訪問とヘルシンキ編
2014-09-29
フィンランドでは裂き織り工房を見学したいと旅行会社にお願いしてありました。探してくださったのは、ヘルシンキ郊外…ではなく、タンペレ近郊のHUITTINENというところにある工房でした。サマーハウスはボチボチあるけど、人は他に全く住んでいないのよ、とかいう工房主さんのお話でした。
ヘルシンキからバスで二時間半かかりましたね。
道中、高速道路から撮った写真。

北海道出身の方が、「高速道路の車のなさといい、家のなさといい、北海道にそっくりー」とおっしゃっていました。
さて、工房はこういう可愛い工房です。Kankurin kotipuotiというのが工房名。多分。工房主はEilaさん。

工房の入り口には当然のように織りマットが。

こちらはご自分で作ってらっしゃるので、普通のお宅以上に織り製品をお使いかもしれませんが、バスの中でガイドさんが話してくださったところによると、フィンランドでは裂き織りマットは廊下や居間の必需品らしいです。おうちを引っ越す・建て替えるとかで必要になると頼んで作ってもらうそうです。機械織りはあまりなくてその辺では買えないそうです。
頼んで作ってもらうと言っても、おうちで織りをされる方はそんなにいないそうです。やはり織機の置き場が問題らしい。公民館みたいなところで、織りをしている人はけっこういるとかで、何とバスの運転手さん(女性)もそうやって織りをしているそうです!本当は今回は旦那さんが運転する予定だったそうですが、織り工房に行くということで、運転をかってでてくださったそうです。
何しろマットは各家庭にあるから、夏になると海辺にマット洗い場ができて、海に行って洗うんだそうです。洗剤も教えてもらいましたが、結局買って帰ってきませんでした。
訪問した工房でも「これオーダーで織ったの」とおっしゃるどでかいマットもあったし、あとオーダー用紙らしきものもありました。いや、裂き織りマット、生活必需品なのねえ。大量生産していないのは不思議。というか、工場はあったそうですが(それも機械織りではないのだろうか)倒産に近い状態だとか。
バスの中での手工芸の話に戻って。ガイドさんの話によると、白樺の工芸もほとんどする人がいなくて(仕事でする人、という意味かな)、陶芸も大きいところでも吸収合併されたりしている。アラビアがイッタラに吸収、イッタラもフィスカルズに吸収?とか。さらに小さいところは本当に苦境とか。
ガラスも工場閉鎖が目立つとか。
でもデザインの力で復活させようとしていて、若い層は育ってきているそうです。我々が行くちょっと前も、ヘルシンキデザインウィークがあって盛況で、地元の参加が多かったそうです。
あと、マルッタ協会というところが、家庭に伝わる手工芸を保護している、という話もしてくださいました。色々なイベントを開催したりしているとか。ある特定の場所と時間を決めて、突然編み始めるイベントとか、船での編み教室とか。
そしてフィンランドには織りの雑誌はなく、織りの学校はつぶれて、織りを習おうと思ったら、美大に行くしかないそうです。毛糸屋はあるそうですが、編み物毛糸で(編み物毛糸はスーパーでも買えるらしい)、織り糸は、工房併設のショップで買えるかな、という感じだそうです。そりゃー街中の毛糸屋さんで織り糸に巡り会わないわけですね…。
そういうお話を色々聞けるので、ガイドさんがいるというのはいいですね。
スウェーデンの織り状況とかは、どうなんでしょうねえ。ガイドさん、ケチっちゃったからわからないなあ…(^^;。
さて、工房の話。入ってまず目を引く織機!でかい!

…と思ったけど、こないだまで奥の部屋にもっと大きい織機があったのよ、とのこと。これ小さい方なんだそうです。幅180cmまで織れるらしいんですけど…。
経糸を全部織りきると、ワープビームを業者に出して、経糸を巻いた状態で返してもらうそうです。自分で整経はしないらしい。まあEilaさんはもともとはここじゃないところで従業員4人を抱えて起業していたそうなので、大変職業的なのかも(いや今でも職業なんですが)。
そして奥の部屋にある作品群。

色々お話を伺ったのですが、参考にと適切なマットがすぐとりだせる!どこに何があるのかちゃんとわかっておられるのですね!そして整理整頓されている。
マットは…打ち込みが段違い!とっても分厚いです!
実際に織っているところを見せていただきましたが、打ち込みは空気圧でした。ボタンを押すと筬が打ち込まれるの。うちの織機で手で打ち込むとしたら、あんなに力いっぱい打ち込めるのだろうか…。織機壊れないかなあ…(爆)。
工房のみならず、夏場の休憩場所とかご自宅とかも案内していただきましたが、どこもかしこも、織られたものがありました。マットはもちろん、カーテンとか、棚の上に掛けられた布とか。あとタオル。

台所にかかっていたタオルです。うわー、使うんだー(いや織りの本では見ますけど、リネンのタオル。使用中のを初めて見ました、多分)。
ところで台所には、こんな立派なものがありました。

オーブンですが、現役だそうです。こちらに移ってきたとき、家もボロボロで色々直したけど、このオーブンはそのまま使っている、だったかな。何しろ、古いものをそのまま使っているそうです。
そしてEilaさんの作品を購入できるということで、工房に戻ってみんなで物色(笑)。
はっきりいって、すっごく破格値でした!工房で直接買うにしても安いよなあ。
でもサイズが大きいしなあ、と思っていたら。
気に入った柄(経糸が見えるタイプの裂き織り)で、ちょっと小さ目で、値段も更にお手頃のマットを見つけてしまった。
買いました。てへ。更にまけてくれてしまいました。

(ちなみに、帰国後母に「これいくらだったと思う!?」と訊いたら、元値をほとんど当てられてしまいました。「りこが買おうと思う価格ならこれくらいでしょう」だって。…さすが母。読まれている…)
マットの上にのっけてあるのは、Eilaさんの娘さんが、コーヒーの空き袋で作ったという籠です。同行者の一人が「これはいくらですかー」と訊いたら、「あらあげるわよ」と言われたので、便乗して一個もらってきてしまいました(^m^)。
コーヒーの空き袋を切って、三つ折りしてミシンをかけて編んであるものと思われます。

そんなわけで、工房(と、ご自宅その他)はとっても堪能。
しかし、Eilaさんを大変疲れさせてしまった気がします…。
翌日はヘルシンキ市内観光をしました。大体の流れは、我楽多日誌 北欧旅行 2014/09/23-24 フィンランドに書いてます。
マーケット広場に行ったのですが、これまでそんなに織り関係見た覚えがないのですが、織り人が多かったせいで引きが強かったのか、3店舗はありましたよ。
裂き織りマットとかのお店、ポッパナ織りのお店、リネン系が多かったお店、だったかな…。ポッパナ織りのお店では日本語の説明文もありましたが、日本でいうと裂き織りです、ってな説明でした。
ポッパナ織りって、布をバイアスに切ったものを緯糸にするもので、裂き織りの一部ではあるけど、日本の裂き織りとイコールではないと思うのですが。
ちなみにポッパナの製品は、欲しくなったものはあったのですが、買いませんでした。リネン製品も…うーん、買いませんでした。
この後、アカデミア書店で織りの本を探したら。
おお!カード織りの本が!買いました。

一緒に写っているのは、同行者の一人にいただいた、着物地を緯糸にして織ったコースターです。工房主さん(など)へのお土産にと、沢山持ってきていたそうです。「いいわよ、あげるわよ」と言ってくれました!有難うございます。ちなみにバスの運転手さんももらっていました。嬉しそうでした。
午後はトラムであっちこっち行きました。これは、トラムの座席(確か)。柄が可愛いです。

トラムでは、裂き織りマットを売っているお店や、ハカニエミマーケットや、ヨハンナ・グリクセンのお店に行きました。ヨハンナ・グリクセンは「わあ、北欧の織りね!」という感じですね。ちなみに、ガイドさんがヨハンナ・グリクセンのポーチを持っていたことをきっかけに、お店の場所を教えてもらってみんなで訪問して(私は買いませんでしたが)けっこう何人も買っていたので、ガイドさんはヨハンナ・グリクセンにかなり貢献したと思います(^^;。
そんなわけで、9/17-9/26の北欧10日間の旅でした。長かったような、あっという間だったような…。
まあ、これまでより織り関係は充実していましたね!
ちなみにお世話になった旅行会社(フィンツアーさんです)には、ヴェブ・メッサには日本人がけっこういました、3年に一度ツアーとか検討してくれませんか、とメールをしてみました(笑)。実現するといいなあ。
…でも、今回ウメオで買った糸を使い切らないと、私はヴェブ・メッサには行ってはいけない気がする…(^^;。
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