『ウィーヴィング・ノート―織物と組織・織りの計画・織りと道具』
2016-06-12
![]() | ウィーヴィング・ノート―織物と組織・織りの計画・織りと道具 (新技法シリーズ 86) 岸田 幸吉 美術出版社 1978-01-16 by G-Tools |
カテゴリは「教科書的」と悩んだのですが、まったく初めて織りをやろうとするときに教科書としてこれを渡されたらちょっと厳しいかもしれない、と思ったので、一応「上級?」にしておきます。ただ、手元に置いておきたい本です。
2010年にAmazonさんで購入したのですが、今絶版なんでしょうか?(中古しかない) 絶版するという情報を得て2010年に購入した、のかもしれません。定価で販売していたら買いですよ、買い!
内容は次のとおり。
- 織物と組織
- 基本となる組織(三原組織)
- 織物の設計図(組織図から設計図をつくる方法もあり)
- 平織とその変化組織(うね織、ななこ織)
- 綾織とその変化組織(正則斜文織、変化斜文織として伸び斜文織・曲がり斜文織・破れ斜文織・飛び斜文織・山形斜文織・あじろ斜文織・昼夜斜文織、特別組織としてはち巣織・ワッフル織・ハックアバック織・ブロンソン織・スエディッシュレース織・よしの織・キャンバス織・オーバーショット織・モンクスベルト・クラックル織・サマーアンドウインター織・なし地織・二重織)
- 作品の写真とその織り方(写真は16ページ、織り方は41ページあります。織り方ではレノ織・ハーフハック・ブロックブーケ・ローズパス・パイル織・レイドイン・スパニッシュレース織・ホームスパンの説明・杉綾・二重織で模様を出す説明・ルーピング・つづれ織・ダニッシュメダリオンなど、本文にない特別組織のほか、からみ織りなどの組織で語れないものなども掲載されています)
- 基本となる組織(三原組織)
- 織りの計画
- 織りの計画から製織・仕上げまでの流れ
- 計画(スケッチ、色合い、試し染・試し織について)
- 糸(糸の素材と種類について、糸の太さの表示や撚りについて、経糸の密度と筬について、織縮みと仕上げ縮みについて、糸量の計算について、織物の耳について)
- 織りの計画から製織・仕上げまでの流れ
- 織りと道具
- 手織機の構造と調整(手織機の基本操作、天秤装置の構造、ろくろ装置と滑車装置の構造、手織機の種類)
- 整経、機仕掛け、製織、整理、仕上げ
- 手織機の構造と調整(手織機の基本操作、天秤装置の構造、ろくろ装置と滑車装置の構造、手織機の種類)
章立てとかの本の構造は、「何故見出しがなく突然作品頁になるんだ…」「何故作品頁に本文にあっておかしくないような説明があるんだ…」「何故糸のところに何もかも書いてあるんだ」「何故これとこれが同レベルの見出しなんだ」「囲み記事かと思ったら見出しなのか??」と、なかなかよくわからない感じですが。
内容は濃いです。「あーあの本はこれを参考に書いたのかなー」と思うところも多いです。
特に、組織の説明が秀逸。組織名と組織があるだけではなく、組織の定義が書かれています。今まで「オーバーショットとモンクスベルトってどう違うの?モンクスベルトはオーバーショットの一種??」位に思っていたのですが、この本で差異を知りました。…いや持っている英語の本には定義が書いてあるのかもしれませんが…解読したことがありません(笑)。
定義がわからないと、本に載っている組織図だけがそれ、と思っちゃいがちなので、定義があるのは大変よいことだと思います。
カラーなのは写真頁だけであとは白黒ですが、ほぼ問題ないです。
- 参考用語
- あ行:あじろ斜文織り、綾織り→斜文織、うね織り、オーバーショット、筬
か行:滑車式、からみ織り、キャンバス織→模紗織り、クラックル織
さ行:サマーアンドウインター織、三原組織、スエディッシュレース織(スウェディッシュレース)、杉綾、スパニッシュレース織、整経、正則斜文織、組織図
た行:経糸、ダニッシュメダリオン、昼夜斜文織、つづれ織、天秤式、飛び斜文織
な行:なし地織、ななこ織、二重織、伸び斜文織
は行:ハーフハック、パイル織、はち巣織、ハックアバック織、平織り、ブロックブーケ、ブロンソン織、ホームスパン
ま行:曲がり斜文織、モンクスベルト
や行:破れ斜文織、山形斜文織、よしの織
ら行:ルーピング、レイドイン、レノ織→レノレース、ろくろ式、ローズパス
わ行:ワッフル織
※ 用語集にない用語は…今からこの本見て追加します(^^;。
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『手織り工房 (ハンドクラフトシリーズ 146)』
2009-06-12
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11月ごろ、Amazonからお勧め本としてこの本の情報がメールで送られてきた時「お、『手織りと手紡ぎ―豊かな暮らしを育む手作りの糸と織物』の人の本かー。それは買いかな」と思いました。
しかし、本はやはり実物を見てから買いたい、と思って、すぐには飛びつかないでいました。そうしたら、なかなか見る機会に恵まれませんで。ようやく実物を見ることが出来「やっぱり買いだ」と判断して購入に踏み切ったのは4月のことでした。
買いと思ったのは、内容の濃さです。組織の説明が大量のカラー図解と共に載っている日本語の本は、初めて見た気がします。
しかし濃すぎるというか(笑)。平織りが載っていない本も珍しいのではないかと。まあ、『手織りと手紡ぎ』が手元にあるという前提なのでしょうか。
さて、その濃い内容について。
- 手織りの準備
- 道具の説明、完全意匠図の書き方の説明、織る工程の説明
- 色々な織り方
- よこ刺し子(最初に見た時は、ブンデンローゼンゴンと同じかと思いましたが、よこ刺し子の場合、緯糸を浮かすことで柄を出すので、違いますね。図案はお互い流用できそうですが)
たて刺し子(最初に見た時に、ちょうど真田縞の小風呂敷をいただいた頃だったもので「真田縞ってたて刺し子?」と思いました。本当かどうかは不明)
二重織り(倍幅、袋織りもここに含む)
風通織り(最初に見た時「はっ、これで、アトリエダーラヘストさんとこで紹介されていたダブル織りのふかふかお昼寝マットが作れる!と思いましたが、ちょっと違いますね)
風通絣
吉野織り(たて吉野、よこ吉野、たてよこ吉野)
模紗多織り(これを読んで「あー、スウェディッシュレースが透け感ある織物になる理屈がわかったー」と思いました。連続して浮いている糸があると、そこにほかの糸が寄ろうとするそうで。そのせいだそうです)
からみ織り(紗・絽・羅。半綜絖を使って。)
つづれ織り(はつり、インターロック、円を織る、斜めを織る、点を織る、ぼかしを織る、が掲載)
ノッティング(トルコ結び、ペルシャ結び)
ほぐし織り(「こんな織りは私は絶対やらないだろう」と思いました……)
絣(たて絣、よこ絣、たてよこ絣、絵絣) - 着物・帯の織り方
- 工程の説明
掲載されている織り方での作品例 - 糸染め
- 合成染料による染め
掲載されている作品について何も書きませんでしたが、それぞれの手法で、作品例がいくつかずつ載っています。
しかしこの本、問題点もあります。
図解が沢山載っているわけですが、何故今時の本で、こんなに斜め線がギザギザなのでしょうか……。小さく書いた図を引き伸ばしてそのまま?って感じにギザギザです。
あと、図のサイズがマチマチで、組織図のマス目のサイズが頁によって色々です。やたら細かく見づらいところもあれば、でかでか広々なところもあります。
頁の割り振り上そうなったのかもしれませんが、図のサイズは統一した方が見やすかったと思います。
- 参考用語
- あ行:インターロック、絵絣
か行:絣、からみ織り、完全意匠図
さ行:紗、スウェディッシュレース、組織、組織図
た行:たて絣、たて刺し子、たてよこ絣、たてよこ吉野織り、たて吉野織り、つづれ織り、トルコ結び
な行:二重織り、ノッティング
は行:倍幅、はつり(→スリット)、半綜絖、平織り、風通織、風通織絣(←風通絣)、袋織り、ブンデンローゼンゴン、ペルシャ結び、ほぐし織り
ま行:模紗織
や行:緯糸、よこ絣、よこ刺し子、よこ吉野織り、吉野織り
ら行:羅、絽
『手織りの実技工房―絣からもじり織まで』
2005-09-28
![]() | 手織りの実技工房―絣からもじり織まで 吉田 絋三 染織と生活社 2002-12 売り上げランキング : 516496 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
何を隠そう、東京スピニングパーティの前夜に、このblogでオススメ本を書くために手持ちの本の情報を得んとAmazonで検索していたら、この本の紹介に巡り合ったのでした。
大変によい本という評価で、とても心惹かれたのですが、定価が3800円(税別)なのに、その時Amazonでの値段が12000円。何故?と思っていました。
そうしたら翌日、東京スピニングパーティで、販売しているではないですか、定価で。
パラパラと見たところ、さすがよい本という話だけあって、中身が非常に濃そうだし、これは買うしか!……と購入いたしました。
日本の織りについて、かなり専門的で詳しい本、と感じます。……難しいです。が、細かく色々載っています。調べる本が手元にあるということはよいことでしょう。
6枚綜絖や8枚綜絖で作る組織もけっこう出ています。
- 内容
- 手織りの準備
- 糸量の計算、染色・糊付けの概要、糸巻き、整経、経糸準備
残糸の長さの計算方法、かせの分け方、ダブル綾取り法についての記述が詳しいのは特筆すべき点かと。 - 織り方とFAQ
- 踏み木・綜絖・筬の位置についても記載。他、各種トラブルの対処法。三丁杼のすすめ、など。
- 基本の組織と組織図の書き方
- 平織り、斜文織り、朱子織り。織物の仕組み、ろくろ綜絖の仕組み。組織図の書き方例では平織りと経畝織りで市松模様にしたものの組織図掲載。
- 平織りで変化のある織物
- 変わり筬を使用した経よろけ・緯よろけ・可動式緯よろけ・密度変化・経緯よろけ
- 強撚糸でしぼのある織物
- 平織りの変化組織の保多織り・糸瓜織り・しじら織り
- 強撚糸でしぼのある織物
- 絣
- 緯絣、緯ずらし絣、経絣、経ずらし絣、絵絣
- すくい織り
- 縫い取り、同口の引き返し、同口のすくい織り、綴れ風すくい織り、綴れ織り
- 花織に挑戦
- 別途花織用の綜絖を作ってとりつけることで、花織に挑戦。
- 二重織り
- 袋織り、倍幅、厚地織物、風通織り、風通織り絣
- もじり織り
- 半綜絖なる仕組みを用いたもじり織り=からみ織り。半綜絖を用いた、紗の基本・紗と平織りの併用による基本的な絽・羅を紹介。
- 小型手織り機の紹介
- 著者が作った、4枚綜絖の小型座敷機の紹介。
- 色々な組織織りの組織図
- 刺子織、梨子地織、ミラネーゼ、道屯織、昼夜織、市松絽、勾配織、はち巣織、模紗織、いちらく織、曲がり斜文織、めがね織り、トンボ、吉野格子
- 手織りの準備
ダブル綾取りの方法は、教室で教わっても本を読んでも理解できなかったのですが、この本の説明でようやく理解できました。いい本です。
花織に挑戦している辺りもわくわくします。
ただ理論が多くて(それはよいことだと思うのですが)理解が追いついていません……。
(2006/3/15~18に追記しました)
- 参考用語
- あ行:綾、綾取り、市松絽、いちらく織、糸巻き、絵絣、筬
か行:絣、かせ、可動式緯よろけ、変わり筬、強撚糸、勾配織
さ行:刺子織、三丁杼、しじら織り、しぼ、紗、斜文織り、朱子織り、すくい織り、整経、綜絖、組織、組織図
た行:経糸、経畝織り、経絣、経ずらし絣、経緯よろけ、経よろけ、ダブル綾取り法、昼夜織、綴れ織り、同口、トンボ
な行:梨子地織、二重織り、縫い取り、糊付け
は行:倍幅、はち巣織、花織、引き返し、平織り、風通織り、風通織り絣、袋織り、踏み木、糸瓜織り、変化組織、保多織り
ま行:曲がり斜文織、ミラネーゼ、めがね織り、模紗織、もじり織り(→からみ織り)
や行:緯絣、緯ずらし絣、緯よろけ、吉野格子(→経緯吉野織り)
ら行:羅、絽、道屯織、ろくろ