『糸から布へ―編む・もじる・組む・交差する・織る技法』
2020-07-13
先日でかい本として『The Techniques of Tablet Weaving』を紹介しましたが、厚い本といえばこれでしょう。いや、厚さでいえば『世界の織機と織物』の方が勝っているかもしれません。しかし、『世界の織機と織物』は、ちょっと厚めの紙で、全部で400頁くらいです。A5ですし。
『糸から布へ―編む・もじる・組む・交差する・織る技法』は、上質紙かなーという紙で、本文だけで493頁です。そしてB5です。すごいです。
ただ、『The Techniques of Tablet Weaving』と違って字は大きいです。
最初に読んだ時、ワープロ専用機で出力した文字でそのまま印刷した感じ?と思ったくらいです。いや昔のワープロ専用機って特定のサイズの文字しか出力できなかったんですよね…。サイズを変えようとすると縦倍角か横倍角か四倍角しかなかったり…。
字は大きいですが(読みやすくて助かります)、ページ数だけあって内容は濃いです。確か『世界の織機と織物』と同時期に入手したんだと思いますが、この2冊があったら、世界の織物を知るには最強なのではないかと思ったものです…。
ざっと目次を紹介します。
- 編という日本語を考える~編・もじり・織の関係~
- 編
- リンキング
- ルーピング
- インタールーピング
- もじり
- 緯もじり
- 斜めもじり
- 経もじり
- 交差
- 斜め交差
- たて・よこ交差
- 機と織
- 割り箸で作る機
- 整経の方法
- 綜絖
- 錘下げ竪機
- 先史時代の布
- 綜絖の出現
- 技法と説明(ちょっと内容の構造がわかりづらいんですが、これまでに出てきたうちの技法をいくつか紹介しているようです)
- 組紐
- スプラング技法
- 結び技法
- 結び編であるマクラメ技法
- レース
- バスケット
- カード織
- プライ スプリット技法
- 刺繍
- 北米インディアンの文化圏
「技法と説明」のところにも注意書きしましたが、全体的に見てもちょっと構造がわかりづらいんです。何故、「編」に並んで「機と織」なのか。「織」ならわかるんですけどね??
…と思ったら、あとがきに、布の分類は「編・もじり・交差」にしたら分類できた、とあるから、「編・もじり・交差」がある意味「布の分類」という一つの章で、「機と織」でもう一つの章、「技法と説明」でもう一つの章…なのかもしれません。「織」だって「交差」に含められますしね。
まあそんなこんなで構造は謎ですが、しかし「糸」が「布」になる手法を全部網羅しようという勢いが素晴らしい。
しかも、日本語でやってるとわけがわからなくなる、「編む」なのか「織る」なのかについてを最初に書いているのも、個人的にナイスです。
端から端まで読んだわけではないですが(どちらかというと辞書的に使っています)、わかるところで言うと、カード織り。これについての記述が深いので、全体の内容も深いんだろうなと思います。何しろこの本、「斜線軸ひねり」についての記述まであるんですよ。
カード織りについての記述は、「機と織」の「綜絖」の中の2ページ、および、「技法と説明」の中の10ページだけですが(注:後で見直したら、「錘下げ竪機」の中にもう何ページかありました)、『The Techniques of Tablet Weaving』を読むにあたっては、日下部啓子さんの『カード織を理解するために』と並んで役に立ってくれそうな気がします。(っていうか、『糸から布へ』のカード織についての記述は、『カード織を理解するために』のもとである染色αを参考にしたものっぽいのですが…)
全般に(手書きの)図もたくさんあって、一生懸命説明しようとされているのをひしひしと感じます。読み応えのある本だと思いますね。
ただこの本、すっごく残念な点があって。
索引が欲しかったなあ…。
辞書的に使うには特に…。
あとヘッダーに章題が入ってるともっと見やすかったですね…。
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『The Techniques of Tablet Weaving』
2020-07-11
GTTの使い方を模索している今日この頃なわけですが。GTTのHPに置いてあるマニュアルは、v1.06用です。
そして現在DLできるGTTはv1.17です。その間に機能が増えているのですが、当然増えた機能についての記載がありません。以前にも書いていますが、Brocade PatternとTwist-Patternですね。サンプルがあるのでこういう柄が作れるんだーというのはわかるのですが、どういう織りなのかがわからないので、どう織るのかもさっぱり…(苦笑)。
これらが載っている本ないかな…載っているとしたら、やっぱあれかな…、と、Amazonの欲しいものリストに長いこと入れてあった本をポチっと…。
これです。Peter Collingwood氏著。1982年に出版された本を2005年に復刻した本。
そして今日届いたわけですが。最初の感想。「…でかっ」。
いや、ちゃんと商品紹介ページに21.6 x 1.9 x 28 cmって書いてあったんですけどね。あんまりここを見てサイズを想像してなかったというか…。なんとなく表紙のカード織り作品が実物大な気がしていて、2,3cm幅のものなのかなという感じでいたので、せいぜいB5位の本の気がしていたというか…。
とんでもなかった。表紙のカード織り作品の幅は、5.6cmありました…。
しかも多分21.6 x 1.9 x 28 cmって、本文のサイズですね。表紙のサイズは22.4×29cm、表紙を含めた厚みは2.4cm位かな…。
で、次に本文を見て、「紙、うすっ」。
2.4cmってけっこうな厚みじゃないですか。それで紙が薄いんですよ。一体何ページあるのか。
勿論ページ数も商品紹介ページに324頁って書いてありますけどね…。
そしてよくよく触ったら上質紙位の厚みはありそうなので、そこまで薄くもなかったんですけどね…。
でも『手織り大全』と同じ紙だったら、手織り大全より8mmくらい太かったと思われます。
そして何より字が小さい…。イラストが多いので、一ページまるまる字ってことはまずないのですが、本文だけだったら一ページに60行入ると思います。
え、私こんなに大量の英文読む気力ないな…。
何分高校時代英語の予習は2行で眠くなっていた人です…。
ま、まあなんとか図を頼りに、必要なところだけ読むかな…。今は翻訳サイトという有難いものもありますしね…。
内容読む前から挫折していますが、とりあえず目次です。
- Historical Introduction(歴史の紹介)
- Introduction of Terms Used(使った用語の紹介)
- Equipment(道具)
- Yarns(糸)
- Warping(整経)
- Threading and Manipulation of the Tablets(通し方とカード操作)(カード操作は回すのとひねるのと)
- Starting, Finishing and Varying the Width of a Band(最初と最後とバンド幅の変更)
- Warp-Twined Bands and Their Characteristics(経糸が絡まったベルトとその特徴)
- Warp-Twined Bands with all Cords Equally Twined between Successive Picks
- Warp-Twined Bands With All Codes Not Equally Twined Between Successive Picks
- Bands Whose Structure is Predominantly Plain Weave, Hopsack, Gauze or Twill
- (あ、誤字発見。目次で11になってるけど12)Bands Whose Structure is a Double-Faced Weave Based on 3-Span Warp Floats in Alternate Alignment(よくわからないが、二重織りの話)
- Weft-Patterning of Tablet-Woven Bands
- Using an Extra Non-Twining Warp
- Special Warp and Weft Manipulation Unrelated to the Weave Structure
- Other Possibilities
- Ways of Producing a Warp Twined Structure Without Tablets(カードなしで経糸が絡まった構造を作る方法?)(日本の組紐などが紹介されている)
元々の目的であるBrocade Patternは13章に載っていそうで、Twistは…載ってますが、うーんGTTでいってるTwistはこの本のTwistと同じ意味なのかどうか…(GTTのTwistのサンプルはアルファベットばっかり載ってるんですよね…)。
とりあえずもうちょっと読んでみないことには何とも…。
カテゴリ : カード織り・バンド織り
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『カード織り ベルト織り』
2020-06-13
最近カード織りづいていましたし、てっきりとっくに紹介していると思ったらしていませんでした。「カード織り ベルト織り」掲載作品展については書いていたので、どうもそれと記憶が混じっていたっぽい。
というわけで今更ですが、本の紹介をします!
内容はざっくり次の通り。
- ベルト織り
- 基本
- シンプルなベルト織り
- 浮き織りのベルト織り
- 畝織りのベルト織り
- ピックアップのベルト織り
- シンプルなベルト織り
- それぞれの織り方によるパターン
- 作品例
- ベルト[シンプルなベルト織り]
- キャップの縁飾り[畝織り]
- カメラのストラップ[ピックアップのベルト織り]
- バッグの縁飾り[ピックアップのベルト織り]
- 市松模様のテープ(をシャツに縫い付ける)[シンプルなベルト織り]
- モノクロのストラップ[ピックアップのベルト織り]
- 浮き織りパターンの縁飾り
- ベルト[シンプルなベルト織り]
- 基本
- カード織り
- 基本(この中で、同じ通し方での回転数の違いによる模様の違いも紹介されている)
- パターン
- 作品に使われているパターン
- 10枚カードでのバリエーション
- 作品例
- くつひも
- ストラップ(絵柄の出る織り方)
- ウールのバレッタ
- ビーズの入った縁飾り
- 基本(この中で、同じ通し方での回転数の違いによる模様の違いも紹介されている)
ただの紐状のもので終わってなくて、それぞれ作品になっているところがいいと思いました。特にくつひもをカード織りで作ることなんて考えてもみなかった!
あと縁飾りとしての利用が多いですが、なるほど、縁を作ったもので飾れば、シンプルなバッグとかシャツとかも一気に個性的なものになりますよね。買ったらシンプルすぎるシャツがあってなんかしようと思っているのですが、縁飾りもいいなあと思いました。
カード織りに限定して言うと、図中の矢印はどっちからどっちに通すかと、通した紐のどっち側が固定側かが、誤解のしようがなく明記されているのがいいですね。いや当たり前のようですが、書いてないか、よくわからない本多いですからね??前にも「カード織りのこと」で混乱していますが。
ほかにこの本の特徴的なことというと、織り機にセットしてやってもいい、というのがベルト織りでもカード織りでも書いてあること、あと緯糸は半分に割って左右両方から入れることですかね。
腰ひもにかける場合シャトル2本を使うのも特徴的?私は今はこの方式(シャトル2本)でやってます。ベルトに直接結びつけるより断然いいです。
もったいないことがひとつ。背表紙がシンプルすぎて本屋で目立たない(笑)。表紙はなかなかインパクトがあるので、平積みや面陳列なら目を引くと思うのですが、本屋さんじゃ大体棚差しですよねえ…。
そしてこの本で不思議なことが一つ。『カード織り ベルト織り』って題名なのに、何故中身はベルト織りが先でカード織りが後なんだろうな???ということです(笑)。
カテゴリ : カード織り・バンド織り
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『たのしい手織り 好きな糸で織る まきものと雑貨』
2020-05-26
先日本屋の手芸本コーナーを見ていたらこの本がありました。
そして「持っている…けど紹介していないな」と気が付いたので、紹介します。
このサイズのこの厚さの本で、リジットヘドル機のわりに、やたら色々な技法が紹介されています。知ってる人なら「リジットヘドルでこの技法?」とちょっと謎に思うラインナップ。拾いまくるの???と思ったのですが、拾っている作品もありますが、実は織り機に理由がありました。
この本で使っているオリヴィエ リラ40、こういうやつですが、ヘドルが2枚セットできるんですね!
※ この画像、Amazonの紹介ページにリンクしていますが、カスタマーレビューはリラ40だけでなくオリヴィエシリーズの色々な織り機のレビューが混ざっているようなので要注意。
ちなみにヘドルを2枚使う技は、『暮らすように織りを楽しむ―手織りの技法と素材の本 (創作のヒント! レッスン 3 手織り編)』にも載っていましたので、オリヴィエ リラ40じゃないとできないというわけではないはずです。
すみません、リジットヘドルを持っていないので、絶対とは言い切れませんが…。
- 本の中で使用している織り機
- オリヴィエ リラ40(リジットへドル機。但しヘドルを2枚セット可能)
- 掲載されている作品
- おでかけこもの
- 千鳥格子風のマフラー[平織り]
綾織りのマフラー3種[ヘドルを2枚使うものと、すくう(拾う)もの]
変り浮き織りのポーチ[2枚ヘドルで浮織り]
カシミヤのマフラー[すくってハック織り]
ラーヌ織りのトートバッグ[平織り]
ハック織りのミニマフラー[すくう]
引返し織りのマフラー[平織り]
3辺フリンジのマフラー[平織り]
タータンチェックのスカート[平織り]
ワンマイルバッグ[ななこ織りとベルト織り。平織り]
ブーケ織りのショール[平織り]
綾織りチェックのマフラー[ヘドル2枚orすくう]
アームウォーマー[観音もじり]
ななこ織りのマフラー[平織り]
ループ織りのマフラー - おうちこもの
- モンクスベルト織りのポットマット[すくう]
ななこ織りのディッシュタオル3種
透し織りのカフェカーテン[観音もじり]
ランチョンマットとコースター[平織り]
ノット織りのミニラグ
オーバーショット織りのピンクッション[すくう]
クッション4種[平織り、浮き織り、コイル織り、はさみ織り]
網代織りのルームシューズ[平織り]
二重織りのひざ掛け[ヘドル2枚]
- おでかけこもの
- 掲載されている織りのテクニック
- 平織り
ななこ織り
綾織り[ヘドル2枚orすくう]
引返し織り
浮き織り
はさみ織り
コイル織り
モンクスベルト織り[すくう]
オーバーショット織り[すくう]
ループ織り
ノット織り
透し織り(ブーケ織り)
観音もじり織り
ハック織りA[すくう]
ハック織りB[すくう]
二重織り[ヘドル2枚]
浮き織り(2枚へドル)
ラーヌ織り
ベルト織り
[]部分は見出しにはなくて、私が補足した部分です。
こう書いてみたら、けっこう2枚ヘドルではなく、すくっていますね…!
しかし、2枚ヘドルの可能性を追求したい人には、いい本なのではないでしょうか???
- 参考用語
- あ行:あじろ織り、綾織り(→斜文織り)、浮き織り、オーバーショット
か行:カシミヤ、観音もじり(→観音紗)、コイル織り(→コイリング)
さ行:透かし織り(→からみ織り)
た行:タータンチェック、千鳥格子
な行:ななこ織り、二重織り、ノット織り(→ノッティング)
は行:はさみ織り(→添え糸織り)、ハック織り、引き返し織り、平織り、ブーケ織り、ヘドル、ベルト織り
ま行:モンクスベルト
ら行:ラーヌ織り、リジットヘドル機、ループ織り(→ルーピング)
(2020/05/26 追記)
今日教えてもらったのですが、アシュフォードのリジットヘドルにはセカンドヘドルキットというものがあって、2枚ヘドルすることができるそうです。それでそのセカンドヘドルキッドはハマナカのオリヴィエにも使えるそうです。
したがって、これらの織り機でも2枚ヘドル技ができるということですね。
手織りの組織図事典
2020-04-25
出ると聞いて楽しみに待っていた日本語の組織図の本!出ました!!思った以上に分厚い!本文300ページ!(出版的には表紙・表紙裏・裏表紙・裏表紙裏も数えるから304頁って言うんじゃないかな。カウントに遊び紙は含みません)
「三原組織から特別組織まで、43の織物組織を徹底解説。」
「512点の組織図を掲載!『一重組織』の決定版」
という、この本の中身を、まずは目次で確認すると。
- 織物とは
- 組織図と完全意匠図
- この本について
- 三原組織と特別組織
- 組織図と完全意匠図
- 三原組織
- 平織
- 平織 Plain Weave
- 畝織(平織変化組織) Rep・Rib
- ななこ織(平織変化組織) Basket Weave
- 紋レップ織(変化畝織) Warp Pattern Rep
- ロートン織とその応用(混合組織)
- しじら織(平織組織の応用) Seersucker/Sucker
Column 阿波しじら
- 畝織(平織変化組織) Rep・Rib
- 斜文織
- 斜文織とは Twill
- 正則斜文織 Regular Twill
- 伸び斜文織(急斜文織) Enlongated Twill(Steep Twill)
- 伸び斜文織(緩斜文織) Enlongated Twill(Reclined Twill)
- 曲がり斜文織 Curved Twill
- 山形斜文織 Pointed Twill
- 菱斜文織 Diamond Twill
- 破れ斜文織 Broken Twill
- 飛び斜文織 Skip Twill
- 撚れ斜文織 Corkscrew Twill
- 組斜文織(網代斜文織) Braided Twill・Plaited Twill
- 重ね斜文織 Double Twill
- スノーフレーク(斜文織応用) Snowflake
- 正則斜文織 Regular Twill
- 朱子織
- 朱子織とは Satin
- 正則朱子織 Satin
- 変則朱子織 Irregular Satin
- ぼかし朱子織 Shaded Satin
- 重ね朱子織 Double Satin
- 昼夜織 (昼夜斜文・昼夜朱子) Twill Check/Block Twill・Damask/Satin Check/Block Damask
- 正則朱子織 Satin
- 平織
- 特別組織
- 吉野織 M's & O's
- 蜂巣織 Honeycomb Weave
- ワッフル織 Waffle Weave
- スポンジ織 Sponge Weave
- ブライトン蜂巣織 Brighton Honeycomb Weave
- グレーシアン織 Grecian Weave
- 花崗織 Granite Weave
- 梨地織/クレープ織(縮緬組織) Crepe Weave
- キャンバス織 Canvas Weave
- ハックアバック織/ハック織 Huck a Back/Huck
- ハックレース織 Huck Lace
- スポットブロンソン織 Spot Bronson
- ブロンソンレース織 Bronson Lace
- スウェディッシュレース織 Swedish Lace
- 蜂巣織 Honeycomb Weave
- 吉野織 M's & O's
- 色糸効果と糸の太細
- 色糸効果
- 色糸効果の基本 Color Effect
- 崩し縞 Log Cabin
- シャドウウィーブ Shadow Weave
- 崩し縞 Log Cabin
- 糸の太細
- ワープレップ織(たて畝織) Warp Rep
- バウンドウィーブ Bound Weave
- ディバーシファイドプレーンウィーブ Diversified Plain Weave
- バウンドウィーブ Bound Weave
- 色糸効果の基本 Color Effect
…最初、目次を単純に書くつもりでしたが、各章を確認したら、括弧書きで付属情報があったりしたので書き加え。
そうこうしているうちに「あ、これ各章に書いてある英語も併記したほうが英語の本読むときに役立つな…」と英語も加えました。
あと目次と本文で若干構成が異なるので、悩んだりしてこうなりました。
だいぶ強力な目次。
そして英語を追記しているうちに「…『・』と『/』の使い分けはなに…?」ってなっている私です…。/が別名で、・が違う種類のものを並べた、かなあ…? ()もあるんですが…()は多分別名。日本語で()で書いたものの英訳が載ってることもあり。
目次に書いただけでも大量ですが、バリエーションも色々載っているので、すっごいです。全部に織り見本と完全意匠図(基本レバー式用とジャッキ式用。天秤式・ろくろ式はタイアップで考慮、かな)が載っています。
あとところどころに、作品サンプルの写真があって、どの組織図で織ったものかの記述があります。
織り気をそそりますね!
ちなみに知らない名前のものも色々ありましたが、大体綜絖枚数が多いものでした。まあ基本4枚綜絖までしかチェックしてなかったので…。いまや我が家では8枚綜絖でも、レバーでも天秤式でもろくろ式でもいけるので、色々織る……かなあ…。織りたいですね…。
あ、知らないと言えば、単式タイアップの書き方も初めて見ました。レバー式などだとこういう書き方もする、のかな?わかりやすい気がする…。
とにかくこの内容でこのお値段はお得!だと思います。
何しろ、頑張って英語の本(時にはスウェーデン語など…)を読んで、語学力の壁で挫折する心配がないんですよ!
その後、織りの知識の壁で躓くことはあるかもしれませんが…。
あ、追記。
組織図の事典ですから、経糸の準備の仕方とか、そういった内容は一切ありません。
そういう織りの基本はおさえている人向けです。
ジャッキ式とろくろ式と天秤式とレバー式の違いも、タイアップがちょろっと書かれている位です。
更に追記。
誤りがあったそうで、以下のサイトに正誤表がでています。
http://www.graphicsha.co.jp/correction_detail.html?p=40692
『はじめての、小さなキリムと小物たち』
2019-10-19
本屋さんに行ったら、織り図案に転化できそうなクロスステッチの本とか、面白そうな編み物の本とか、気になる新刊が色々出ていました。どれか買おうかなーと思っていたら、こんなのもあった!『KILIM』!
KILIMがタイトルかと思ったら、奥付によると『はじめての、小さなキリムと小物たち』がタイトルってことになっています。確かに背表紙にはその文字だけ入っていますね。
キリムの各種技法というか、モチーフの紹介をコースターサイズでした後に、こういう作品にできますよ、と作品へのアレンジも載っています。
見たところ、よさそうな本です。何より、キリムの本が特別な棚ではなく、ふつうに手芸本コーナーにあったのがすごい…!
というわけで買いです。買いました。
※ 日本でいうならキリムの織り方は綴れ織りなので、カテゴリは「綴れ織り」にしました。
本の内容は次の通り。
- キリムの世界へようこそ
- (各種モチーフ)
- ストライプ
- ハッチ/十字
- ギョズ/目
- エル、パルマック、タラック/手、指、くし
- チェンゲル/フック
- ブカーウ/足かせ
- キュペ/耳飾り
- チチェッキ/花
- ベレケット/豊穣
- アシュク ベ ビルレッシム/斜陽
- クシュ/鳥
- ユルドゥズ/星
- ムスカ/お守り
- エリベリンデ/腰に手
- プトラック/オナモミ
- ハヤットアージュ/生命の樹
- サチバーウ/髪飾り
- コチボユヌズ/雄羊の角
- クルトアージュ、クルトイジ/狼の口、狼の足跡
- ストライプ
- コンビネーション
- ヨコボーダー斜め織り
- カナバル アヤーウ/モンスターの足跡
- クルトイジ/狼の足跡
- ブカーウ/足かせ
- キュペ/耳飾り
- スユル/流れる水
- カナバル アヤーウ/モンスターの足跡
- ヨコボーダースリット織り
- ギョズ/目
- スユル/流れる水
- エル、パルマック、タラック/手、指、くし
- ハッチ/十字
- ギョズ/目
- ヨコボーダー斜め織り
- (作品)
- マグカップウォーマー(モチーフ:スユル/流れる水)
- タペストリー(モチーフ:サチバーウ/髪飾り)
- タペストリー(モチーフ:ユルドゥズ/星)
- クラッチバッグ(モチーフ:チェンゲル/フック)
- クラッチバッグ(モチーフ:キュペ/耳飾り)
- ブローチ(モチーフ:エル、パルマック、タラック/手、指、くし)
- チャーム(モチーフ:ユルドゥズ/星)
- ピンクッション(モチーフ:アシュク ベ ビルレッシム/斜陽)
- サコッシュ(モチーフ:エル、パルマック、タラック/手、指、くし)
- サシェ(モチーフ:アシュク ベ ビルレッシム/斜陽)
- サシェ(モチーフ:チチェッキ/花)
- ヘアアクセサリー(モチーフ:エル、パルマック、タラック/手、指、くし)
- ヘアアクセサリー(モチーフ:サチバーウ/髪飾り)
- キーケース(モチーフ:チェンゲル/フック)
- キーケース(モチーフ:ブカーウ/足かせ)
- ポットマット(モチーフ:ベレケット/豊穣+エル、パルマック、タラック/手、指、くし)
- マグカップウォーマー(モチーフ:スユル/流れる水)
- キリム織りの基礎知識
- アレンジカタログ(飾りひものアレンジ、織りかたのアレンジ、タテ糸の始末のアレンジ、縫い綴じのアレンジ)
- KILIM Gallery(著者作品が2ページ、オールドキリムが6ページ)
…意味が分からないカタカナを打つのにけっこう苦労しました…。
ですが、96ページでサイズも小さいわりに盛り沢山なのは理解していただけるかと!
あと、気になる道具と材料。
- 本の中で使用している織り機
- F8サイズのキャンバス用木枠。まあでも100円織り木枠でも、なんでもいけるんじゃないでしょうか。要は経糸がきっちり張れれば。
- 使用している糸
- 経糸は撚りの強い強撚糸。
緯糸は粗目の羊毛糸でほとんど流通していないため、オリジナル糸を販売しているとのこと。Webで購入可能(タテ糸も購入可能)。ただし、この本では入手しやすいDMCのタペストリーウールでの作成も提案しています。こちらで織る場合、サイズが小さくなるとのこと。
というわけで、入手できるようなもので始められるのがいいな、と思います。
楽しそう。
『ポーランド ヤノフ村の絵織物』
2017-12-25
![]() | ポーランド ヤノフ村の絵織物: 二重織りの技法と伝統文化が生まれた小さな村を訪ねて 藤田 泉 秋元 尚子 誠文堂新光社 2017-08-10 by G-Tools |
何分にもここの所、織りと言ったらこれ関係のことばっかりやっていたので、まず本を紹介しないと始まりません。(といいつつ、本より先に、犬のオリジナル図案を紹介していますが…)
昨年のヤノフ村の織物展でWSを受けてきた、ヤノフ村の絵織物の本です。WSの時に「来年には本が出る」とお聞きして楽しみにしていました。そして、新・東京スピニングパーティー2017でゲットいたしました。
内容は次のとおり。
- 第一章 ヤノフ村の絵織物 その歴史と模様
- 二重織りの発生と、ジャカード織りの発生による伝統柄の衰退、プルティンスカ教授による伝統的な柄の復興、社会主義による民芸文化の保護、社会主義の衰退による織り手の減少と、再度の工芸品の見直しについて。
ヤノフ村の二重織りはジャカード織りが発生した時にはその柄を模倣したように、可能性が広い織りだとのこと。織り手は減少していますが、若い織り手さんも誕生したりしています。この本では、ヤノフ村の二重織りの織り手さん7人も紹介されています。
また模様について、大まかに次の6つのカテゴリーに分けて紹介されています。植物模様・幾何学模様・プルティンスカ教授と捜索した柄・生命の樹・村の暮らし・動物柄。 - 第二章 ヤノフ村の絵織物の制作技法
- 用意する道具、準備の仕方、織り図の見方、織り方。織り図は小さいサイズが20、大きいサイズが21種類。
プルティンスカ教授の教えでは、織り図は作らず思うままに織れ、という感じっぽかったですが、それに反してこの本には織り図が沢山載っています(笑)。まあ日本人には織り図がある方が向いているかな、と。織り図の元になったのは、本に紹介されているヤノフ村の織り手さんがデザインしたものとのことです。 - 第三章 オリジナルの柄の絵織物を織る
- 秋元さんのオリジナルデザインの図案5つの紹介、および、オリジナルの図案の作り方について。
- 第四章 ポーランド東北部の織りの村を訪ねて
- ヤノフ村以外に残る、ポーランドの3つの織りの紹介。ジジンのホドニクという裂き織り、シュチェプキのセイパクという生活のための織物、スタレ・レフコヴォのペレボレという、バイダーワンド織りが伝わって変化したと考えられる織り。
これ以外に、ポーランド東北部の文化と暮らしについてのコラムが4つ載っています。
勿論、二重織りの図案集として使えますし、オリジナル図案から二重織りを織れるようにもなれるのですが、さらに読み物としても読みごたえがある本です。
『はじめての裂き織りレッスン』
2017-03-27
![]() | はじめての裂き織りレッスン: 糸の種類・かけ方、基本の織り方などをわかりやすく解説 箕輪 直子 誠文堂新光社 2017-03-02 by G-Tools |
本の紹介より掲載作品展に行った話の方が先になりましたが、掲載作品展に行くより前に本は入手していました。本屋さんで買いました。
- 本の中で使用している織り機
- 卓上クローズドリードとしてオリヴィエ、卓上オープンリードとして咲きおりの経糸のかけ方が紹介されていますが、それ以外の作品作りのページでの写真はどれも咲きおり。大体、表紙もばっちり咲きおりです。
内容は次の通り。
- 作品集
- ナチュラル・エスニック・和・モノトーンという、色合い(?)で分けた作品の紹介
- 裂き織りについて
- 織り機と糸のかけ方として、クローズドリードとオープンリードの経糸のかけ方。その他裂き織りのコツとして、素材・経糸の選び方、裂く前にすること、必要量の目安、裂き幅、布の裂き方、変わり素材の裂き方のポイント、裂き布にプラスのひと工夫、裂き布のつなげ方、シャトルの巻き方、織り方、仕上げ
- 織り方を知って、作る
- 平織り・浮き織り・ひろって柄を出す・うね織り・よろけ縞織り・引き返し織り・網代織り・うね網代織り・ノット織り、織り機がなくてもOK
- そのほか、サンプル織り
- 柄糸と裂き方による変化、糸と布の組み合わせ、ソウコウの選び方
「織り方を知って、作る」のページでは、織り方の説明をしつつ、作品集の作品を作成しています。
作品は、今回クッションとあずまバッグはあちこちに出てきます。仕立て方を一か所で書けばいいから合理的ですよね!
ほかにもランチョンマット、カトラリーケース、トートバッグ、バスケット(タオルフォルダー)、メガネケース・ペンケース、フロアマット、ショルダーバッグ、テーブルマット・コースター、うさ耳バッグ、ひざ掛け、フロアマット、スクエアバッグ、ショールなどの作品があります。
「織り機がなくてもOK」としては、布ぞうりとベルト織りが紹介されています。織り機がなくてもOKとは言っても、ベルト織りでは「ヘドルルーム」を使っています。ヘドルルームって…つまり『紐を織る』ではリードと書いてあったやつですね。北欧では色々凝った木製のを売っていました。この本に載っているプラスチック製のものは、4月からStudio A Weekさんで発売予定だそうです。
各作品ですが、マットやショール以外の仕立てが必要なものでも、楽な仕立てになっています。バッグ類もちょっとかがるだけとか金具でとめるだけとかです。作りやすそうでいいですね。
- 参考用語
- あ行:あじろ織り、浮き織り、うね織り
さ行:裂き織り、シャトル⇒杼、ソウコウ
た行:経糸
な行:ノット織り⇒ノッティング
は行:引き返し織り、平織り、ベルト織り
や行:よろけ
『手軽に楽しむ手織りの小物―かんたんに使える卓上手織り機で小物作りを』
2016-09-13
旧・がらくた織物工房開設時にいずれ紹介しようと下書きで題名だけ書いてあった本が実はまだあります。10年以上下書きのままだったわけですね!雄鶏社がなくなった時に雄鶏社の本は一気に紹介したんですがね…。雄鶏社以外のがまだ。
というわけで、ブティック社の本です。もう、新刊では販売していないかな?
![]() | 手軽に楽しむ手織りの小物―かんたんに使える卓上手織り機で小物作りを (レディブティックシリーズ (1633)) ブティック社 2001-03 by G-Tools |
- 本の中で使用している織り機
- オリヴィエ・オリヴィエヴェガ
※但しどの作品も2枚綜絖があれば織れます。 - 掲載されている作品
- サンプラー
- 経糸密度を変える、経糸を数色使ってストライプ・緯糸も数色使ってチェック、2色で織る模様いろいろ、細い経糸を使って緯糸が見えないマットに適した織り方・綴れ織り(名前は特に挙げられていませんが、ラーヌ織りと思しきものも)・ノッティング、平織りのテクニック色々(はさみ織り・飛び通し・レース織り・浮き織り・素材を変える)
- サンプラーの柄を生かして
- 綴れ織りのカラフルコースター、チェックの花瓶カバーと花瓶敷き、浮き織りのテーブルセンター、細い経糸でマット、はさみ織りのタペストリー
- マフラー&ストール
- バッグ&小物
- バッグ&小物
- バッグ、ショルダーバッグ、巾着、携帯電話入れ(ただし、当時の携帯電話なので大分細くてストレート型)、ポーチ、
- 素敵なインテリア
- テーブルセンター、クッション、タペストリー、マット、色紙掛け、ランチョンマット、ティーセット(ティーコゼー・ティーマット・ポットつかみ)、フロアマット、レターラック
- サンプラー
多分、オリヴィエヴェガ新発売に合わせて作られた本じゃないかなーと。
色合いがどれもこれも好みの作品が多いのですが、果たして今も販売している糸なのか疑問ですねえ…。糸の寿命ってけっこう短いですよね…。定番以外は。
この本を見て、色紙掛けを作るのもいいなあと思ったものでした。いやあ、大学時代にいただいた書の色紙とかがありまして…。
- 参考用語
- あ行:浮き織り
さ行:綜絖
た行:経糸、綴れ織り
な行:ノッティング
は行:はさみ織り、平織り
や行:緯糸
ら行:ラーヌ織り、レース織り
『紐を織る—スカンジナビアの暮しに生きるバンド織りとカード織り』
2016-08-17
紐を織る—スカンジナビアの暮しに生きるバンド織りとカード織り 山梨 幹子 復刊ドットコム 2016-08-23 by G-Tools |
予約した『紐を織る』が届きました。
帯の文言は表側が「日本で唯一! 『紐織り』の名教本がついに復刊!! 北欧の伝統的な織物『紐織り(バンドウィービング)』。織物愛好家が、待ちに待った教本です。」。
裏側が「もう海外の教本は必要なし!ロープ作りに端を発し、古くは古代エジプトの墓からも発見された『紐織り』。その後は北欧を中心に世界中のいたるところに広まってきた伝統的な織物です。その可愛い『紐織り』の技術・作品を多数紹介!!愛好家、垂涎の一冊です。」。
…いや、海外の本も買いますけど(笑)。
さて内容は以下の通り。
- I ”紐を織る”小史
- 4ページに渡って、紐がいつごろから作られ、どのように使われてきたかという話。プレイトウィービングは「編み」なのでこの本では割愛している、ということも書かれています。
- II バンドウィービング
- バンドウィービングについて
- バンドウィービングの用具(「織機を使用しない場合」と「織機を使用する場合」について)
- 織り始める前の準備(織機を使用しない場合の、デザインから経糸の準備まで)
- 織り始める(緯糸の準備と織り)
- バンドウィービングのパターン(基本は緯糸が見える縦縞、緯糸が見えない縦縞、緯糸が見えない横縞、チェック、つづれ)
- バンドに模様を織り込む作品例(模様を織り込む場合のデザインの決め方と織り方)
- バンドウィービング織機を使って織る(織機の場合糸綜絖なので、使える糸の種類が増え、また経糸の本数も増やせる。長く織る場合は織機を使うと便利)
- バンドウィービング参考作品集(No.101~178まで78種類の設計図と写真)
- バンドウィービングについて
- III カードウィービング
- カードウィービングについて
- カードウィービングの用具(4ツ穴カードの型紙付き)
- 織り始める前の準備(10枚のカードを使う場合を例として、デザインから経糸準備まで)
- 織り始める
- カードウィービングのメカニズム(デザインを考える時に有益な、システマティックな話)
- 3ツ穴カードで織る(3ツ穴カードの型紙付き)
- カードウィービングの応用による変り紐(丸いブレード、二重織、フリンジ、ボタンホール)
- カードウィービング参考作品集(No.201~232まで32種類の設計図と写真)
- カードウィービングについて
- IV ”紐を織る"仕上げと利用法
- 糸端の始末、紐の利用方法(かがって幅広にしてバッグなど、ネクタイの作り方。その他世の紐製品のイラスト)
基本的に白黒ですが、何ページかカラー写真頁があります。
掲載されているのは、次のとおりで何故か全作品ではありません(^^;。
- バンドウィービングのリードの写真
- バンドウィービングの作品例No.101~170のカラー写真
- カードウィービングの作品例No.207~230のカラー写真
この本は、「1978年に美術出版社より刊行された『新技法シリーズ 紐を織る スカンジナビアの暮しに生きるバンド織りとカード織り』を底本とし、一部改訂して復刊いたしました」だそうですが。底本も大昔に借りて読んだことはあるのですが、さすがにどの程度改定されたのかは全くわかりません。
表紙の色は違いますが。あと、一部の糸はヤマナシヘムスロイドで取り扱っていますと、ヤマナシヘムスロイドの住所やURLが書いてあるのも、底本と違うと思いますが…。
作品もいっぱい載っていますし、自分でデザインできるようにとの配慮もされている。いい本だと思います。
カテゴリ : カード織り・バンド織り
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